元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
シレッと悪びれた風もなく、爆弾発言をするノエルに私の顔はさらに赤くなった。
「…な、なんてこと言うのよ!ノエルの馬鹿!」
恥ずかさから、思わず数歩後ろに下がり、ノエルと距離をとる。
しかし、
「ふーん、抵抗しなかったことは否定しないんだ?」
そんな数歩の距離は、ノエルにとっては微々たるものでまたしてもサッと距離を詰められてしまった。
機嫌の良さそうなノエルは、満面の笑みで近づいてくる。
…な、なんかこれ以上は駄目な気がする。
「…待って、今はそれ以上近づかないで…」
これ以上は、私の心臓が持たないから!
心の中でそう叫ぶも、ノエルに聞こえるはずもなく…。
すっかり逃げ腰の私はソロソロと後ずさるしかなかった。