元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
その時だった。
バンッ!
またしても、客間の扉が勢いよく開き、
「エレノアお嬢様!ご無事ですか〜!?どこも、ケガしてないですよね!?」
と、青い顔をして私に飛びついてきたのはルーナだった。
「ルーナ?大丈夫だから…落ち着いて!」
彼女は、私の頭からつま先までケガがないか入念にチェックしだす。
そして、私にケガがないことを確認し終わると、
「本当に…よかったです。アリスに話を聞いたときは心臓が止まるかと…ッヒク」
ホッとしたのか、今度はボロボロと泣き出してしまった。
ノエルもアルバートもそんな彼女の登場に呆気にとられたようで、二人して顔を見合わせている。
こうして、先程までのピリピリとした空気は、ルーナのおかげですっかり消え失せてしまったのだった。