元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
ようやく静かになった室内で、私は一人窓の外を眺める。
…良い天気。
私の心とは対照的に、外は澄み切った青空が広がっていた。
それにしても…
「お父様は、本当に昔から自分の体裁ばかりね」
思わず、フッと自嘲的な笑みがこぼれる。
「それに、私がここにいられるのは…エレノアお姉様のおかげでしょ。自分の手柄みたいに言うなんて…。あなたが私を追い出そうと根回ししてることなんてとっくに知ってるわ」
それは昨日のことだった。
部屋の前の廊下でヒソヒソと話をする侍女たちの声が聞こえてきたのは。
「ねぇ、聞いた?旦那様、シャーロット様のこと遠い親戚の養女に出そうとされたらしいわよ」
「そうなの!?いくら…罪を犯したからと言って実の娘をそんな簡単に手放そうとなさるなんて…それに本当だったらシャーロットお嬢様、しばらくは牢への幽閉が決まってたらしいのだけれど…エレノアお嬢様が庇ってくださったらしいわ」
「…まぁ!エレノア様…ご自分が誘拐まがいのことをされてひどい目にお会いになったって言うのに…どこまでお優しいのかしら…」