元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
しかし、それさえも上手くいかなくて。
いつも、私のことを何より考えてくれていたお姉様が、私よりノエル様の言うことを信じると、テラス席で言われたことが無性に悔しくて…。
少しの間、お姉様とノエル様を合わせないようにできればいいと、そんな軽い気持ちでお姉様の誘拐を計画した。
まぁ、あわよくば…お姉様とずっと一緒にいられたらいいと、考えていたのは事実だけれど…。
…今考えると浅はかな計画よね。
もちろん、お姉様を傷付けるつもりはこれっぽっちもなかったが、誘拐犯の私がそんなことを言った所で信じてもらえるとは思っていない。
お姉様のことも結構こわがらせてしまったし、ね。
だから、本当のことは自分の胸に秘めておこうと思う。
…まぁ、でも…。
「ノエル様だったら、お姉様のこと本当に幸せにしてくれるかもしれないわね…」
小さく出たその言葉は、自分を納得させるためのものなのか。はたまた、本心なのか。
再度、私が窓の外に目をやると、遠くで綺麗な2羽の鳥が羽ばたくのが見えた。
*END*