元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
「そ、そうしたいのは…やまやまなんだが、今日だけはちょっと…な。もちろん、ご令嬢の約束が済めば、俺もすぐそちらに向かう!ただ、どうしても1時間ほど遅れそうなんだ…だから、頼む!俺の代わりにエレノアのお茶につき合ってやってほしい。ノエルならエレノアとも面識があるし…」
一瞬、耳を疑いたくなるような言動に僕は頭が痛くなる。
「…あのさ、流石にそれは…」
駄目でしょと、言いかけた時。
「…ヤバい。時間が…!ノエル本当にすまない、エレノアにはうまいこと言っといてくれ。」
僕に最後まで言葉を言わせないで、脱兎の如く、部屋を後にする兄。
…冗談だろ?
残された僕は、あまりの出来事に呆然と兄が出ていった扉を見つめるしかなかった。