元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
「あ!ノエル様いらっしゃい。今日はノエル様も顔を出してくださったのですね!……あれ?…リアム様は??」
「兄は少し急用が入って、1時間ほど遅れるそうで」
「そうだったのですか…私ったらタイミングの悪い時にお茶に誘ってしまって…申し訳なかったですわね」
シュンと、申し訳無さそうに肩を竦める彼女の姿に僕の良心がチクチクと痛んだ。
現在、僕は兄の代わりにビクター伯爵家に来ていた。
「ごめんね。代わりに僕がしばらく話し相手になるからさ」
本当は、お茶会なんて面倒だし、兄の尻拭いで行くのは御免なんだけど。
流石に彼女が待ちぼうけくらうのは可哀想だしね。
目の前の少女に、笑みを浮かべつつ、心の中で僕はそんなことを考えていた。