元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
…僕の好みまで把握していなかったこと気にしてるんだな。
そう察した僕は、
「大丈夫。どれも美味しそうだよ」
と、呟くと、目の前に置かれていたクッキーを手に取り、パクッと口に放り込む。
「うん!すごく美味しい」
僕の突然の行動にエレノアは、目を丸くして驚いていた。
…まぁ、マナー違反だしな。
普通は、主催者から勧められてからたべ始めるものだ。
「…ふふっ。ノエル様って…面白い方だったのね。実はそのクッキー私が作ったんです。美味しかったなら安心しました」
クスクスと、肩を震わせて笑うエレノアは緊張が解れたのか少しだけ口調が柔らかくなる。
「同い年なんだし、様なんかつけなくていいよ、ノエルで構わない」
「じゃあ、私もエレノアと呼んでください」