元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
――――…
僕が話し終わると、
「…うーん…確かにそんなことあったような気がする…わ。まぁ、リアム様にお茶会をすっぽかされたことは何度もあったし…どの時かと言われるとハッキリ思い出せないけれど」
パッと思い出せなかったのか、首を捻る。
「…いいよ、思い出さなくて。ついでに兄との記憶も抹消してもらっても構わないし」
「ノ、ノエルったら…また冗談に聞こえないから」
あははと、苦笑いを浮かべるエレノア。
まぁ、冗談じゃないけど、エレノアを困らせるだけだし、これ以上は言わないようにする。
「…でも、そんな前から想ってくれてたなんて全然気づかなくて…私ったら」
そう言って、落ち込むエレノアを僕はそっと抱き寄せ、チュッと、額に口づけた。
「いいんだよ、昔のことだし。それに、僕にとっては今、エレノアが僕の側にいることが1番重要」
やっと、僕のものになったんだ。
悪いけど、一生、離してあげないから覚悟してね?
心の中でそう呟き、僕は小さく微笑んだのだった。
*END*