元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
*番外編4*帰省中の出来事★アリスSide
「……エレノアお嬢様は許してくださったけれど…本当にこのままビクター伯爵家で、私なんかが働いてもいいのかしら…」
私、アリス・メイソンは、昼間から自室のベッドの上に腰を下ろし、小さくため息をこぼした。
…今日、これからどうしようかな…。
どうして、私が昼間から自分の部屋に籠もっているのかと言うと時は数日前に遡る。
――――…
リアム様がビクター伯爵家に乗り込んできた翌日のこと。
「お、お嬢様?おはようございます…いかがされたんですか?朝早くにこんなところで…」
エレノアお嬢様がわざわざ、ビクター家の侍女部屋に私を尋ねてきたのだ。
突然の訪問に何事かと緊張する私に対して、
「…おはよう。アリスちょっといいかしら?あのね、ルーナとも話したんだけれど、昨日は色々あってあなたも疲れたと思うわ。だから、私から命じます。今日から数日の休暇をとっていらっしゃい…それで、また、ビクター家に戻ってきてね?」
と、優しく微笑むお嬢様。
「い、いえ!そういうわけには…!」
私は一生懸命、首を横に振った。
当たり前だ。悪いのはリアム様に唆された私なのだ。なのに、そこまで気を遣ってもらうわけにはいかない。