元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています

「どうしたのよ…急に立ち上がって」

私も座っていたベッドから立ち上がり、トムに声をかける。


「……別に」


今度は素っ気ない態度のトム。


「もう。急に変な子ね……あら?」


その時。自分が立ち上がって、ようやく気がついた。

「…なんだよ」

「トム…少し見ない間に背が伸びたのね」

5センチほど私より高いだろうか。
トムをみあげるなんて、新鮮で…つい、マジマジと彼の顔を見てしまう。

トムって、わりと整った顔してるのね。

少し焼けた肌に、切れ長の目。


まだ、表情はあどけないけど…あと数年もすればそれなりにモテるんじゃないかしら?

…ハァ。昔は小さくて可愛かったのにいつの間にかこんなに大きくなっちゃって。


そんな感慨に浸っていると


「…アリス」


小さくトムに名前を呼ばる。


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