元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
「ほら、エレノア。恥ずかしがってないで出ておいでって。心配しなくてもすっごい似合ってるから。ほら、そんなところで小さくなってる方が目立つって、堂々としてれば大丈夫だから」
と、満面の笑みを浮かべたノエルは、満足気に私を見つめる。
そんな彼とは対照的に、私は恥ずかしさから、街角で縮こまっていた。
どうして、私がこんな状態で街に繰り出すことになっているかと言うと…それは、ルーナが私の部屋にやってきた頃に時間は遡る。
――――…
「ノエル様!遅くなりました。早速準備に取り掛かりますのでお部屋の外でお待ち下さい。アリス!あなたも手伝ってちょうだい」
「はい!ルーナさん!」
ノエルの指示で、部屋にやってきたルーナとアリスは慌ただしくクローゼットを漁る。
ノエルは、
「じゃ、任せたよ?」
と、言ってサッサと部屋を出ていってしまった。
「ルーナ、アリス…これは一体何事なの??」
残された私は、わけがわからず二人に声をかける。