元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています

「へぇ。ルーナがね…」

「そ、そうなの!だから、私も仕方なく…というか、それしかなくて…あ!ノエル!ディナーきてるから先にそれ食べましょ?ね?」

言い訳しつつ、後ろに下がりながらいったん、この場の空気を変えようとそんな提案をしてみる。


あと、もう少しでドアノブに手が届くというところで、


「じゃあルーナに感謝しなくちゃ。あの子、いちいち僕のツボ知っててくれてるよね?今日の銀髪も綺麗だったけど…」


近づいてきたノエルに、ソッとかツラをとられた。


サラッ、地毛の黒髪が顕になる。


すると、ノエルは、徐ろにチュッと髪にキスを落とし、


「僕はいつものエレノアの黒髪が1番好きだけどね」


と呟いた瞬間、そのまま優しく唇を塞いだのだった。

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