元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
彼の口から出た言葉に私は目を見開いた。
その姿は、まるで構ってもらえない猫みたいで。
思わず、クスリと笑みが溢れる。
「…ふふ。嫉妬してくれたんだ」
コロンと、ノエルの方を向いて横になった。
「…笑うなよな。本当は、嫉妬してるとことかあんまり見られたくないんだよ…」
「そうなの?私はそういうノエルがもっと見てみたいけどな。なんか、可愛いし…?」
不機嫌そうに呟く彼が、初めて同い年の男の子に見えて、頬が緩む。
しかし、
「へぇ。可愛い…?僕が??…そっか。わかった、今日はなんだか余裕そうだね、エレノア…僕も遠慮しないから、覚悟してね?」
可愛いという発言が、ノエルの地雷に触れたのか、さっきまで恥ずかしがっていた様子は微塵も感じさせない不適な笑みで私を見つめている。
「…え、いや、余裕とかじゃないから!全然、そんなことない…っん!!」
慌てて否定するも時既に遅し。
バッと起き上がったノエルは、先程より激しいキスで私を翻弄する。
しかも、今度は余裕綽々な表情つきだ。
簡単に入り込んできた舌が、クチュクチュと、口内を動くたびにビクッと、反応してしまう私。
…もう、絶対にノエルに向かって可愛いっていう言葉は言わないでおこう。
そう誓った日となった。
*END*