元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています


…まぁ、和気あいあいってわけにはいかないわよね。

応接間の中は、少し重い空気が立ち込めていた。

機嫌が悪そうにソファに座るお父様。

その目の前の席に、申し訳無さそうに肩をすくめるコックス公爵とリアム。そしてそんな彼らとは対象的に背筋を伸ばしたノエルの姿が見えた。


「…エレノア嬢」


「コックス公爵様、お待たせして申し訳ありません。急にいらっしゃるものですから少々準備に手間取ってしまいましたわ。それで…何の御用でいらっしゃったのでしょうか??」

できるだけ笑顔でそう言い放つ。


「…まずは改めて今回の騒ぎについて謝罪にと。…リアム」

公爵に促され、今まで黙っていたリアムが重い腰を上げ、私に向かって頭を下げた。


「…すまなかった。今回、私の浅はかな行為でエレノアを深く傷つけてしまって…」


プルプルと肩が震えているのをみると、よほど屈辱を感じているのだろう。

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