元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
何?嘘だったの?と、言わんばかりのノエルに私は慌てて反論する。
「も、もちろん協力はするわ、でもだからといって婚約だなんて…なんでそんな話に?」
「…考えてみて、エレノア。兄さんと君は婚約破棄をしたんだ。しかも、シャーロットとの浮気の噂には既に貴族の間で広まってしまっている。そんな兄さんと結婚したいなんて令嬢いると思う?」
「…それは…とりあえずほとぼりが冷めるまでは無理でしょうね」
貴族界隈でそんな噂が流れれば、致命的。いくら公爵家の人間といえど婚約したいという他の貴族令嬢は現れないだろう。
「そう。しかし、コックス家もそれでは困るんだ。跡取りのこともあるしね。じゃあここで問題。兄さんが事実上結婚できそうにない場合、コックス家としてとる対策は?」
「それは…跡取りを次の人にまわすとか……?もしかして…ノエルが…」