元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
ハッとして私は目の前のノエルを見る。
ノエルは頷くと、
「そういうこと。次の白羽の矢は僕に立ったというわけ。だからこっちに戻ってきたんだよ」
そう呟いて肩を落とした。
そうよね。少し考えればわかることだわ。
リアムが結婚できない状況であれば次男のノエルにその役目が回ってくるのは当然の流れだ。
…私がリアム様と婚約破棄をしたことでノエルに迷惑をかけてしまったんだわ。
「…ごめんなさい。リアム様との婚約破棄で貴方に迷惑をかけるつもりはなかったの」
「…いや、しょうがないよ。それにそもそも悪いのは兄さんであってエレノアじゃないんだ。だから君が謝る必要ない」
「でも…」
私の婚約破棄のせいでノエルの人生が変わってしまったのは事実。
きっと、もっと自由な時間が次男の彼にはあったはずなのに。