元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています

努めて冷静に、私は言葉を紡ぐ。

そして、

「まだ結婚まで至ってなくてよかったです。リアム様、この婚約なかったことにいたしましょう。これがお互い最善ですわ」

ニコッと、微笑んで言い放つ。

そんな私に、顔面蒼白になるリアム。

そして、あろうことか

「ま、待ってくれ。エレノア、私は…君と婚約破棄する気はない」

なんて言い出す始末。


流石にシャーロットも今のリアムの発言に驚いたのか目を見開いた。

そりゃそうだ。先ほどまで愛を語り合っていた相手だ。自分を選んでくれると思っていただろうから。


「…私と婚約破棄する気がないとおっしゃいますけどでは、シャーロットとの関係はどうなさるおつもりですか?」


「これは一種の気の迷いというか、私が本当に愛しているのは君だけだ」

自信満々に言い放つ彼。

…何を言ってくれてんのかしら、この人。

私は呆れて言葉も出てこなかった。


< 5 / 318 >

この作品をシェア

pagetop