元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
努めて冷静に、私は言葉を紡ぐ。
そして、
「まだ結婚まで至ってなくてよかったです。リアム様、この婚約なかったことにいたしましょう。これがお互い最善ですわ」
ニコッと、微笑んで言い放つ。
そんな私に、顔面蒼白になるリアム。
そして、あろうことか
「ま、待ってくれ。エレノア、私は…君と婚約破棄する気はない」
なんて言い出す始末。
流石にシャーロットも今のリアムの発言に驚いたのか目を見開いた。
そりゃそうだ。先ほどまで愛を語り合っていた相手だ。自分を選んでくれると思っていただろうから。
「…私と婚約破棄する気がないとおっしゃいますけどでは、シャーロットとの関係はどうなさるおつもりですか?」
「これは一種の気の迷いというか、私が本当に愛しているのは君だけだ」
自信満々に言い放つ彼。
…何を言ってくれてんのかしら、この人。
私は呆れて言葉も出てこなかった。