元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
おそらくノエルはそこを気にしているのだろう。
19歳と言えばギリギリだもの。
「…まぁね。お父様には申し訳ないけれど、私、最悪独り身でもいいかなぁと思ってるのよ?そりゃ跡取りは実子にこしたことないけれど養子をとる方法だってあるもの」
リアムとの一件で正直、男性というものに対し多少の不信感を持ってしまったのは否めない。
もちろん、全ての男性がそういうわけではないってわかってはいるけれど。
「…エレノアが独り身だなんてありえないよ。これだけ魅力的な女性はそうそういないし、僕だったら放ってなんかおかない」
ドキッ
ノエルがあまりにも真剣な表情で言うものだから不覚にも心臓が高鳴った。
「…ありがとう。貴方にそう言ってもらえて嬉しいわ」
小さく微笑んでお礼を述べる。
「まぁ、そういうわけだから、私のことは別に気にしないで?それよりも、問題は私とノエルの婚約のタイミングよ?この状況だとリアム様からすぐに貴方に乗り換えたみたいだし…」
世間体というものはなんだかんだ気にする必要があるからだ。
変な噂が流れてノエルのイメージが悪くなるのは申し訳ないし。
私がどうしたものかと悩んでいると、
「…エレノア。そのあたりのタイミングは僕に任せてくれない?悪いようにしないからさ」
ニコッと微笑みノエルはそう呟く。
なんだか自信満々な様子だし、彼のことだそういうのは上手くやるだろう。
「えぇ。わかった、ノエルに任せるわ」
そう安易に快諾してしまった。
しかし、3日後、私はノエルに任せたことを後悔することとなる。