元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
いくつか予想はしていたけれど、まさか今日とは…。
目を丸くして驚く私。
「…きょ、今日って流石に今からじゃドレスの準備だって…」
「それなら心配ないよ。僕が準備しといたから」
「…ハァ…そうなのね。わかったわ」
ノエルって本当に仕事が早いというか、早すぎて時々ついていけないわね。
小さくため息をつき、私はソファから重い腰をあげた。
「…それじゃ、お父様に許可を…」
「あぁ。ビクター伯爵にはすでに話を通してあるよ」
「……そ、そう。ありがとう」
将来、ノエルの本当の婚約者になる人は大変ね。こんな完璧人間の相手をできるご令嬢…果たしているのかしら。
そんな一抹の不安を感じながらも、私はそっとソファに座り直したのだった。