元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています


ふふんと、鼻歌交じりに私の髪をとかしつつ、丁寧にカーラーで毛先を巻いていく。


「ノエル様もこんなお嬢様みたら惚れ直すでしょうね」


「ルーナ…だから私達は期限付きの偽装婚約なんだってば。ノエルが私を女として好きなんてないと思うわ。だって今までそんな素振り1回もなかったもの」


前にも言ったが、小さい頃から一緒にいるからかほぼ姉弟みたいな感覚で。

私も物心つく頃にはリアム様という婚約者もいたしね。


「お嬢様って……いえ、なんでもないです」


呆れたような様子のルーナは何か言いかけたが、途中で口を閉ざす。


「え?何??気になるわ」


「…お嬢様も罪作りな女ですね〜ってことです。はい!あとはメイクしたら完成ですよ」


罪作りな女…?


ルーナの言おうとしている意図がわからず首を傾げる。


結局、その後ルーナがその話をすることはなく、ノエルが迎えに来る予定の時刻には全ての準備が整っていたのだった。


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