元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています


「ルーナ…」

「どうかしました?お嬢様…ほら、早く玄関に行かないとノエル様がお待ちですよ」


先ほど私の部屋にいたノエルも私が準備している間、自身の準備の為、コックス家に戻っていた。

そして、定刻となり、再度パートナーである私の迎えに来てくれているわけだが、


「…やっぱりドレス変えない?ほら、あっちの黒のとかも可愛いし…」

いつもの自分であれば絶対に着ないタイプのセクシーなドレスをノエルに見せることが急に恥ずかしくなった私は、最後の悪あがきをしていた。


「…エレノア様、お着替えする時間はもうないです。パーティーに遅刻なさってもよろしいのですか?」


淡々と正論を言ってのけるルーナに私は何も言えない。


「ほら、時間が経てば慣れますって」


「ちょ、ルーナ待ってちょうだい」

一向に玄関に向かわない私にしびれをきらしたのか、後ろから背中を押し、玄関へと強制的に連れて行かれる。


…ま、まだ心の準備が…


< 68 / 318 >

この作品をシェア

pagetop