元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
「ルーナ…」
「どうかしました?お嬢様…ほら、早く玄関に行かないとノエル様がお待ちですよ」
先ほど私の部屋にいたノエルも私が準備している間、自身の準備の為、コックス家に戻っていた。
そして、定刻となり、再度パートナーである私の迎えに来てくれているわけだが、
「…やっぱりドレス変えない?ほら、あっちの黒のとかも可愛いし…」
いつもの自分であれば絶対に着ないタイプのセクシーなドレスをノエルに見せることが急に恥ずかしくなった私は、最後の悪あがきをしていた。
「…エレノア様、お着替えする時間はもうないです。パーティーに遅刻なさってもよろしいのですか?」
淡々と正論を言ってのけるルーナに私は何も言えない。
「ほら、時間が経てば慣れますって」
「ちょ、ルーナ待ってちょうだい」
一向に玄関に向かわない私にしびれをきらしたのか、後ろから背中を押し、玄関へと強制的に連れて行かれる。
…ま、まだ心の準備が…