元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています

「…ですが、今回兄との婚約が破棄になったと聞いて…最後のチャンスだと思ったのです。もちろん皆様の中にはこのタイミングで…と、思われる方も多いでしょうが…僕の気持ちを伝えるのはもう一生ないかもしれないと考えると、居ても立っても居られなくて…勇気を出して彼女に気持ちを告げることを決めました」

まるで呼吸をするのと変わらないように口から出るストーリー。

呆気にとられている私とは対象的に、

「ノエル様…さぞ思い詰めてらっしゃったのでしょうね…」

「好きな女性が実の兄の婚約者ですもの…なんだかラブロマンス小説みたいですわ!」

「ほぅ。コックス侯爵もわりと男気のある人だったのか」

彼に同情する周りの貴族たち。

「私は、お二人のご婚約本当に素敵だと思います。周りの意見なんてお気になさらないでください!応援していますわ」

最終的に目に涙を浮かべ、そんなことを言い出すご令嬢まで出てくる始末。



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