元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
ここまできて私はようやくノエルの意図に気づく。
新聞に私との婚約を大々的に発表したのも、アルバートのパーティーに急遽参加をしたのも、全ては周りの貴族たちに私との婚約を納得させるためだったということに。
おそらく今日のパーティーでのやりとりは、参加した貴族たちによって、社交界中にこう伝わるはずだ。
…コックス侯爵とビクター令嬢の婚約は肯定的な意見が多数を占めている…と。
…ノエル…。アルバートのパーティーまで利用してこの舞台を作り出したってわけね。
一体いつからこの計画を考えていたのだろう。
あまりにも計画通りに物事が運んでいき、私は呆れを通り越し、むしろ関心してしまった。
「皆さん、ありがとうございます。エレノアを精一杯幸せにできるよう尽力したいと思います。アルバートも招待ありがとう。今後も仲良くしてくれると嬉しいよ」
「あぁ。こちらこそ。頼りにしているよ」
ガシッと堅い握手を交わす二人に対し、会場からはパチパチと、われんばかりの拍手が巻き起こったのだった。