元婚約者の弟から求婚されて非常に困っています
ノエルの言葉に妙な圧を感じつつ、私は首を縦に振った。
「よし!じゃあこの話はお終い。もう夜も遅いし今夜は家に泊まっていくか?部屋は余ってるから好きに使ってくれていいし」
「ううん。今日は帰るわ。侍女も待たせてるし、明日も色々たてこんでるの」
せっかくの申し出だが、明日も参加しなければならないお茶会やパーティーがある。
「悪いな、アルバートそういうわけだ。それに僕もエレノアを屋敷まで送るから。また今度ゆっくり時間をとろう」
「そうか…残念だな。まぁ二人ならアポ無しでいいしいつでも来てくれよ」
ニカッと、豪快に笑うアルバートにクスリと、笑みが溢れた。
本当に公爵家の人間なのかと疑ってしまうくらい、貴族の中では珍しいタイプだ。
「あぁ。すまない…エレノア行こうか」
「えぇ。それじゃあまたね、アル。おやすみなさい」
ノエルの差し出した手を取り、私たちはアルバートの屋敷をあとにしたのだった。