バスストップ
「どこがテストめっちゃできたって?」

今週の土曜日はメイが俺の家に来ている。
テスト見直し、期末テストバージョンだ。
はっきり言って俺の見立てでは、半分以上の教科が30点取れてるかどうか微妙だ。

「えー、めっちゃ答案用紙埋めたよ?」

適当に解答欄埋めて満足してんじゃないだろーな、とバカっぷりに不安。

呆れてしまってベッドにぐったりと腰掛け「もう今更だし、補習がんばって。」と言ってしまう。
「ってゆうことになると、残念だけどレイタへのご褒美はなしか。」
と嫌味で返されて、その挑発にうっかりと乗ってしまった。
俺の勉強机を占領して、落ち着きなく椅子を右に左に回転させながら座っているメイの背後から両肩に手をおいた。
「毎週土曜日図書館でのカテキョ代と、俺の期待裏切り代はどーしてくれる。」
「ご褒美じゃなくて、罰金?」
「150万」
「たっか……売れっ子カテキョかよ。」とあごをあげて俺を見上げてくる。
「150万、回、チューだな。」
ちょっとゼロの数が多すぎて、メイには分からないかもしれない。
150万回が一体どんなもんなのか。

メイが背後に立つ俺を見上げたまま、両肩に置いた俺の手に自分の手を重ねた。

「しよう!150万回!」

俺の脳みそが超高速で電卓を弾いている。
その計算時間を誤魔化すように、メイに顔を近づけて、鼻が彼女の鼻にぶつかりそうな距離で計算が終わりふっと笑った。

「1年間で150万回キスしようと思ったら、一日に4110回しないとダメだな。いつから始める?」

桁違いな数字にメイもクスクスと笑った。

「今日からだよ、レイタ。」
「上等。じゃあ……1。」

メイが椅子をくるりとまわし、俺の方に向き直って「2。」と言う。


……



「メイ、今41?42?」
「レイタ、今日中に4110回終わる?」


END
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