君の胃袋を掴む

それに対して、小梅ちゃんが何か言いたげに口を動かし、息を吐く。

「……私も」

ぽつりと返る言葉が嬉しくて、身体に抱きつく。

「アイスが落ちる!」
「僕の愛は溢れ落ちるくらいだよ」
「そうだ、買ったイクラ食べなきゃ」

溢れるで思い出すのがイクラって。
僕の愛も拾って食べて欲しいんだけど。

「明日の朝、ご飯炊こう」
「銀鮭もあるよ。買っといた」
「親子丼にする? 焼鮭とイクラの」

小梅ちゃんの提案に大きく親指を立てる。

二人して夜道で朝ご飯について語る。
僕の胃袋は君に掴まれた。






END.
20210704

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