君の胃袋を掴む

例えば、このカップケーキ。

「これ三つ、小麦粉とバターの配分が少しずつ違うんだけど、ちょうど取ったやつが君の好みだったって話でしょ」
「え、そんな面倒なことしてんの」
「いちおう料理研究部だし」

出来上がりの膨らみ具合、色とか香りが変わってくる。

「この二つも食べて良い?」
「どうぞ」
「これもこれも美味い」

両手にカップケーキ。
どんな欲張りな子供だ、と呆れてしまう。

「……それはもうカップケーキが好きなんじゃない?」

タッパーの蓋をしながら答えた。
雅宗がパクパクと二つを食べ終える。

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