君の胃袋を掴む
料理をするのなら、こっちの方が使いやすいとかこういうのが欲しいとか、色々出てきて置きたがるだろう、特に好きな男の家には。
それがこの家のキッチンでは無かった。
「小梅ちゃん?」
私は更に深く息を吐いて、雅宗の肩を抱き寄せた。
「ありがと」
守られていたのかもしれない。
雅宗によって。
「うん?」
「じゃあ朝ご飯作ってほしい。洗濯機はまわしとく」
「おっけー」
ソファーベッドからおりて、カーテンを開ける。
白い光が差し込んだ。
リビングに戻ると良い匂いがしていた。
ダイニングテーブルには朝ご飯が並んでいる。