君の胃袋を掴む
「なってない。でも、まだ一緒には棲まない。ここ雅宗の親の持ち物なんでしょう? 一緒に棲むなら挨拶とか行かないとダメだし……」
「結婚、してくれるってこと……?」
期待を込めたきらきらとした視線を送られる。
「どうしてそうなるの。というか、雅宗が面倒だなとは最初から思ってたよ。ご飯作ってって、同級生にお願いすることじゃないし」
パンを囓り、私も続ける。
「でも、雅宗が食べて美味しいって言ってるの見るの、好きだったし。すぐにじゃなくても良いけど、面倒な雅宗のこと好き人間がいるの、受け入れてよ」
さきほど、喜ばれてはいたけれど。