君の胃袋を掴む
なんか、朝食を食べながらする話だったのだろうか。
「僕、泣きそう……」
「え? どうして」
「小梅ちゃんが尊くて」
「とうと……?」
「僕には勿体ない天使」
ぎゅ、と横から抱きつかれ、持っていたパンを落としそうになる。
「天使なんかじゃない」
「あれ良い漫画だよね」
「漫画?」
「なんでもない。朝ご飯終わったら昨日の続きしよ」
昨日……と思い出す。玄関でのこと。
「しない!」
「あ、確かに。シーツをまず干さないと」
「そういうことじゃない!」
「良い天気で良かったよね」
本当に、面倒な人の胃袋を掴んでしまった。