君の胃袋を掴む

バイト終わりに一緒に歩く。
片手にアイスを持ちながら、小梅ちゃんは続けた。

「中学生に私がご飯作りますって言われたのが気に食わなかったんだろうね、すごい怒ってさ。高校は家出て下宿するって決めたんだ」

知らなかった。
確かに、高校の時に下宿していたのは聞いていたが。

「実母親とは連絡取ってんの?」
「たまにね。料理のこと質問すると、ちゃんと返してくれる。プロってすごい」

たぶん、プロだからなのもあるだろうけど。

「雅宗のこと話したら、運命の相手だねって笑ってた」

その言葉に顔を上げる。

< 98 / 101 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop