大和の風を感じて2〜花の舞姫〜【大和3部作シリーズ第2弾】
「本当にこの件に関しては、勝手に進めて悪いとは思ってる。だがこれもお前の為を思って了承したんだ」

そう言って瑞歯別大王(みずはわけのおおきみ)雄朝津間皇子(おあさづまのおうじ)に頭を下げた。いくら兄でも相手は大王だ。そんな大王に頭を下げさせるのは流石に悪い気がする。

「もう、分かったよ。その忍坂姫(おしさかのひめ)に会えば良いんだろ。多分断る事になると思うけど……」

雄朝津間皇子は諦める事にした。
それに大王も自分の事を思っての事だと言うのは理解した。
それで会ってみて嫌なら断れば良いだけの話しだ。そこまで困る事でもない。

「そうか、納得してくれるか。これが雄朝津間にとって良い縁談になる事を期待している」

瑞歯別大王は、何とか雄朝津間皇子に了解を貰えて一安心といった所だ。

「ところでお前、皇太子をやってみる気にはなったか?」

(そっちの話しまで押し付ける気か)

「それは断じてお断りします!」

そう言って彼は「じゃあ、俺はこれで失礼します」と言って部屋を出ていった。


そんな彼の後ろ姿を見た瑞歯別大王は、「ふぅーやれやれだ」と言ってその場で手を伸ばした。

「俺が今の妃と出会ったのは、16、17歳ぐらいの時だったな。雄朝津間もそろそろ大事な娘を見つけられると良いが。それが俺なりのせめてもの償いだからな」

大王は、自分が今の雄朝津間皇子ぐらいの時の事をふと思い返していた。
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