大和の風を感じて2〜花の舞姫〜【大和3部作シリーズ第2弾】
そして翌日、雄朝津間皇子は物部椋垣の元に向かうため、忍坂姫を乗せて馬を走らせていた。
今回の潜入に関しては、雄朝津間皇が物部椋垣を引き付けている隙に、忍坂姫がその剣があるでろう部屋に忍び込む事で話しがまとまった。
「良いかい。くれぐれも無茶はしないでくれよ」
今は馬で向かっている最中で、雄朝津間皇子が忍坂姫に念押しした。
今回は極秘で動いてる為、他の人には一切話していない。
「はい、分かりました。剣が見つかり次第皇子に伝えます」
忍坂姫は皇子にそう答えた。とにかく今回は失敗が絶対に許されない。
心して取りかからねばと彼女は思った。
物部椋垣のいる所は、石上神宮から少し行った先にある。
この距離なら、人に見つかりさえしなければ、歩いての剣の持ち運びも可能だと思われた。
そしてついに2人は物部椋垣の住居にたどり着いた。
宮に着くなり、早速物部椋垣に来てもらうよう、ここの使用人に言付けた。
すると、物部椋垣は直ぐに2人の前にやって来た。
「これは雄朝津間皇子、どうしてまた急に」
物部椋垣はいきなり雄朝津間皇子がやって来た為、少し警戒している感があった。
「お前も既に聞いてると思うが、昨日石上神宮に置かれていた七支刀が突如消えてしまった。その為、物部伊莒弗が今大王の元に出向いている。そこで、お前にも何か心当たりはないか聞こうと思ったんだ」
雄朝津間皇子は物部椋垣にそう言った。
「雄朝津間皇子、では私は近くで待機してますね」
物部椋垣は忍坂姫をふと見た。この娘は一体誰だろうと。
「この子は稚野毛皇子の第一皇女の忍坂姫だ。今ちょっとうちの宮に来ていてね」
雄朝津間皇子はさっと彼女を物部椋垣に紹介した。
「あぁ、稚野毛皇子の皇女様ですか。お父様にはたまにお会いしますね。あなた様のいる宮にも何度か言った事があります」
(良かった。これなら私がこの人を見た事があるって言う嘘も信じて貰えそう)
忍坂姫は思わず雄朝津間皇子の前で言った嘘が、何とか上手く誤魔化せそうで安心した。
「今日はここに来るついでに姫も誘ってみたんだ。一応俺の妃候補に上がっていて、物部にも行ってみたいと言われてたんでね」
雄朝津間皇子はとりあえず、忍坂姫をそのように説明した。
別に全くの嘘と言う訳ではないので、特に怪しむ事はないだろう。
「おぉ、そうでしたか。それは何とも良い縁談でございますね。話しでは稚野毛皇子も皇女様の嫁ぎ先をひどく心配されてると聞いてましたから」
それを聞いた忍坂姫は、思わず呆れるほかなかった。
(お父様、一体どれだけその事を周りに言ってるのよ。本当に恥ずかしいったらありゃしない……)
ただ今の状況が状況だけに、父親を中々責めずらい。何とも複雑な心境だった。
今回の潜入に関しては、雄朝津間皇が物部椋垣を引き付けている隙に、忍坂姫がその剣があるでろう部屋に忍び込む事で話しがまとまった。
「良いかい。くれぐれも無茶はしないでくれよ」
今は馬で向かっている最中で、雄朝津間皇子が忍坂姫に念押しした。
今回は極秘で動いてる為、他の人には一切話していない。
「はい、分かりました。剣が見つかり次第皇子に伝えます」
忍坂姫は皇子にそう答えた。とにかく今回は失敗が絶対に許されない。
心して取りかからねばと彼女は思った。
物部椋垣のいる所は、石上神宮から少し行った先にある。
この距離なら、人に見つかりさえしなければ、歩いての剣の持ち運びも可能だと思われた。
そしてついに2人は物部椋垣の住居にたどり着いた。
宮に着くなり、早速物部椋垣に来てもらうよう、ここの使用人に言付けた。
すると、物部椋垣は直ぐに2人の前にやって来た。
「これは雄朝津間皇子、どうしてまた急に」
物部椋垣はいきなり雄朝津間皇子がやって来た為、少し警戒している感があった。
「お前も既に聞いてると思うが、昨日石上神宮に置かれていた七支刀が突如消えてしまった。その為、物部伊莒弗が今大王の元に出向いている。そこで、お前にも何か心当たりはないか聞こうと思ったんだ」
雄朝津間皇子は物部椋垣にそう言った。
「雄朝津間皇子、では私は近くで待機してますね」
物部椋垣は忍坂姫をふと見た。この娘は一体誰だろうと。
「この子は稚野毛皇子の第一皇女の忍坂姫だ。今ちょっとうちの宮に来ていてね」
雄朝津間皇子はさっと彼女を物部椋垣に紹介した。
「あぁ、稚野毛皇子の皇女様ですか。お父様にはたまにお会いしますね。あなた様のいる宮にも何度か言った事があります」
(良かった。これなら私がこの人を見た事があるって言う嘘も信じて貰えそう)
忍坂姫は思わず雄朝津間皇子の前で言った嘘が、何とか上手く誤魔化せそうで安心した。
「今日はここに来るついでに姫も誘ってみたんだ。一応俺の妃候補に上がっていて、物部にも行ってみたいと言われてたんでね」
雄朝津間皇子はとりあえず、忍坂姫をそのように説明した。
別に全くの嘘と言う訳ではないので、特に怪しむ事はないだろう。
「おぉ、そうでしたか。それは何とも良い縁談でございますね。話しでは稚野毛皇子も皇女様の嫁ぎ先をひどく心配されてると聞いてましたから」
それを聞いた忍坂姫は、思わず呆れるほかなかった。
(お父様、一体どれだけその事を周りに言ってるのよ。本当に恥ずかしいったらありゃしない……)
ただ今の状況が状況だけに、父親を中々責めずらい。何とも複雑な心境だった。