大和の風を感じて2〜花の舞姫〜【大和3部作シリーズ第2弾】
青年 房千嘉の恋模様
こうして忍坂姫は、雄朝津間皇子に連れられて、日田戸祢の家の側の花の咲いている場所に行ける事になった。
「わぁ、これは凄い。何て綺麗なんでしょう」
忍坂姫はその光景にとても感動した。
そこではツツジやサツキ等の春の花が咲いていて、鳥や蝶も飛んでいた。
こんなに綺麗な光景であれば、ずっと見ていても退屈はしないと思った。
「確かに、噂どおりだね。これは俺も驚いたよ」
雄朝津間皇子も忍坂姫の横で、同じように驚いていた。
「雄朝津間皇子、本当に連れてきてくれて有り難う」
忍坂姫はそう笑顔で答えた。
本来の目的とは違うが、彼とこの光景を見れた事はとても嬉しいと思った。
すると、雄朝津間皇子は忍坂姫の肩に手を回してから言った。
「いや、別にたいした事はしてないよ。でも、君にそんな風に喜んで貰えて、本当に良かった」
雄朝津間皇子は、忍坂姫の目を見ながら嬉しそうにして言った。肩に手を回されている為、2人の距離はとても近かった。
(雄朝津間皇子的には、そこまで深く考えてないのかもしれないけど、距離が近いとどうしても緊張してくる……)
皇子に自分のそんな状態が気付かれないよう、彼女は必死で平静を装うよう努めた。
(でも今日は天気も良いし、本当に来て良かった)
そしてしばらくの間、2人はそのまま景色を眺めていた。
それから暫くして、雄朝津間皇子が忍坂姫に言った。
「じゃあ、ちょっと日田戸祢に会ってくるよ。君をここにずっと1人にしておく訳にもいかないから、出来るだけ早く戻るようにはする」
それを聞いた忍坂姫は、むしろ出来るだけ長く日田戸祢の所にいて貰いたいと思ったが、流石にそれは言えなかった。
「雄朝津間皇子、分かりました。私は大丈夫なので、気にせずに行って来て下さい」
それを聞いた雄朝津間皇子は、彼女はなんて思いやりのある娘だろうと、とても感心した。
「忍坂姫、本当にありがとう。もし何かあったら大声で叫ぶんだよ。日田戸祢の家に仕えている者にも伝えておくから、そこの人達が助けに来てくれるはずだ」
雄朝津間皇子は忍坂姫を軽く引き寄せて、彼女の頭をポンポンと撫でた。
そして「じゃあ、行ってくるよ」と彼女に言い、日田戸祢の家の方へと向かった。
(雄朝津間皇子は最近本当に変わってきたわね。この間千佐名の元に行って帰って来てからが特にそうだわ。
そんなに不誠実な人間と思われるのが嫌になったのかしら。それに少し接し方も前より積極的になった気がする)
忍坂姫は雄朝津間皇子を見送りながら、そんなふうに思った。
「わぁ、これは凄い。何て綺麗なんでしょう」
忍坂姫はその光景にとても感動した。
そこではツツジやサツキ等の春の花が咲いていて、鳥や蝶も飛んでいた。
こんなに綺麗な光景であれば、ずっと見ていても退屈はしないと思った。
「確かに、噂どおりだね。これは俺も驚いたよ」
雄朝津間皇子も忍坂姫の横で、同じように驚いていた。
「雄朝津間皇子、本当に連れてきてくれて有り難う」
忍坂姫はそう笑顔で答えた。
本来の目的とは違うが、彼とこの光景を見れた事はとても嬉しいと思った。
すると、雄朝津間皇子は忍坂姫の肩に手を回してから言った。
「いや、別にたいした事はしてないよ。でも、君にそんな風に喜んで貰えて、本当に良かった」
雄朝津間皇子は、忍坂姫の目を見ながら嬉しそうにして言った。肩に手を回されている為、2人の距離はとても近かった。
(雄朝津間皇子的には、そこまで深く考えてないのかもしれないけど、距離が近いとどうしても緊張してくる……)
皇子に自分のそんな状態が気付かれないよう、彼女は必死で平静を装うよう努めた。
(でも今日は天気も良いし、本当に来て良かった)
そしてしばらくの間、2人はそのまま景色を眺めていた。
それから暫くして、雄朝津間皇子が忍坂姫に言った。
「じゃあ、ちょっと日田戸祢に会ってくるよ。君をここにずっと1人にしておく訳にもいかないから、出来るだけ早く戻るようにはする」
それを聞いた忍坂姫は、むしろ出来るだけ長く日田戸祢の所にいて貰いたいと思ったが、流石にそれは言えなかった。
「雄朝津間皇子、分かりました。私は大丈夫なので、気にせずに行って来て下さい」
それを聞いた雄朝津間皇子は、彼女はなんて思いやりのある娘だろうと、とても感心した。
「忍坂姫、本当にありがとう。もし何かあったら大声で叫ぶんだよ。日田戸祢の家に仕えている者にも伝えておくから、そこの人達が助けに来てくれるはずだ」
雄朝津間皇子は忍坂姫を軽く引き寄せて、彼女の頭をポンポンと撫でた。
そして「じゃあ、行ってくるよ」と彼女に言い、日田戸祢の家の方へと向かった。
(雄朝津間皇子は最近本当に変わってきたわね。この間千佐名の元に行って帰って来てからが特にそうだわ。
そんなに不誠実な人間と思われるのが嫌になったのかしら。それに少し接し方も前より積極的になった気がする)
忍坂姫は雄朝津間皇子を見送りながら、そんなふうに思った。