月下の少女
私の太陽

春陽side


瑞希さんに連れてこられた病院の先生は凄く優しくて、なんでも関東連合御用達らしい。


私の病気のことも理解してくれて、病院の日が当たらない部屋に案内された。


それから足とお腹の処置もされて、血が足りないと輸血までされた。


私、ほんとに重病人だったんだ…。


「春陽、ありがとな。」


「何が?」


「守ってくれて。」



守られたのは私の方だよ…。

戦いが終わってから、左手足はずっと痺れ続けている。


これから先、私が自分の足で歩くとは難しくなるだろう。


「正直、予想はしていたが拳銃が出てきた瞬間負けるかもしれないと思った。でも、春陽が守ってくれた。ありがとう。」


「私も、みんなに昼の街を守ってもらったから。お互い様だよ。それに、私は私を包んでくれる太陽を見つけたから、それでお礼は多すぎるくらい。」


でも、抗争も終わり、同盟も終わり。


私たちの関係はこれでおしまいだ。


心にぽっかり穴が空くというのはこういうことなのだろう。


虚無感を感じながらも何とか会話を続ける。


「同盟組んでくれてありがとう。明日からも、街を守ってね。」


「その事なんだが…。
同盟は解消しない。」


「え…?」


「元から迷ってたんだ。それに、同盟組んだ時も解消について俺は“ひとまずそのつもり”とは言ったが了承はしてないしな。」


それ、だいぶ自分勝手な気がするが、心のどこかで喜んでいる自分もいる。


でも、このまま一緒にいたら離れられなくなって、迷惑をかけることが目に見えている。


このまま甘えていいの?


どうすればいいのか答えが出ず、言葉が出てこない。

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