月下の少女
「俺は春陽が欲しい。春陽も俺らが太陽なんだろ?欲しくないのか?」
関東連合は、初めて見つけた光だ。
好きで手放したいわけじゃない。
ただ、迷惑をかけたくないだけなのに…。
「欲しいって顔に書いてるぞ。」
「…欲しいよ…。」
「何?」
「欲しいに決まってるじゃん!でも、病気が進行したら必ず迷惑をかける。そんなの絶対に嫌。みんなに迷惑かけてまで私は一緒にいたくない!」
思いの丈を1つ話せば溢れるように出てきた本音。
離れたくない。
でも離れなきゃ…。
心の中の葛藤はいつまでたっても消えない。
「じゃあ、言い方を変える。」
「え?」
「俺はお前が欲しい。だから、俺と一緒にいろ。迷惑かけろよ。俺を頼れ。」
迷惑かけろ?
何それ…。
目の前の瑞希さんは至って真剣な面持ちで本心で言っているのが伝わる。
迷惑ってそんな簡単に人に押し付けていいものじゃないでしょ?
なのになんで…?
「俺は春陽と同じ感情だって話したの覚えてるか?」
あの顔が熱くなって無性に恥ずかしくなる感情の正体?
抗争前に話したのはちゃんと覚えてる。
でも、その気持ちの正体は未だに分からないままだ。
「覚えてるけど…。」
「教えてやろうか?」
「この前結局教えてくれなかったでしょ?」