月下の少女
秘密

春陽side


いつもと同じ部屋、同じ格好、同じ時間に目が覚めた。


8月15日


ついにこの日が来てしまった。


「どうしよう…。」


自分の部屋から出る直前まで関東連合の溜まり場に行くか迷ったが、“見たことない景色”という言葉が気になって行くことに決めた。


この日に書いた日記は予想以上に早く書き終え、より一層のルーティーンを乱された感覚に陥る。


まだ約束の時間より早いが、全身に日焼け止めクリームを塗り、黒い服装で店を出た。


いつも私が出ていく時に店の準備をしているマスターも今日は不在で、私の週に一度のお手伝いも休みとなった。


店のドアには臨時休業の文字もあり、何か用事があるのだろう。


裏通りを散策してから行こうと思いウロウロするが今日に限ってトラブルというトラブルは起きない。


いい事なんだけどね。


今日はさっきまで雨が降っていたのか地面が濡れている。


トラブルに遭遇しないまま約束の時間が近づき、歩いてたまり場へ向かった。


たまり場に近づくにつれて人通りは少なくなり、表通りをのようなザワザワした音も聞こえなくなってきた。


意外とたまり場は近く、約束より早くついてしまったけど、連絡手段もなければどこから入っていいのかもわからずぼーっと眺めながら突っ立っていた。


1週間前はバーを使ってくれたしマスターの知り合いだしとあれこれ理由をつけて来てしまったが、本当に良かったのか?

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