月下の少女

公弥さんに連絡先を春陽に渡すように伝えてからスマホは肌身離さず持っているが、一向に連絡は来ない。


俺は結局onyxから自宅に帰る気にはなれず、そのまま歩いて倉庫に戻った。



ほとんどのメンバーは帰ったようだが数名は俺と同じように戻って来ていた。


幹部たちのバイクも倉庫に停められており、幹部は全員戻ってきているらしい。


俺は幹部室の扉を開けると、中で寛いでいる幹部達の視線を一気に集めた。


「あれ?onyxに行ったんじゃなかったの?」


送ってくれた昇が真っ先にツッコミを入れ、淳治と雪也も同じことを聞きたそうな顔をしている。


俺は着っぱなしだった特攻服をハンガーにかけ、さっきの出来事を簡単に話す。


「春陽、部屋に籠って出てこないらしい。だから連絡先だけ置いて戻ってきたんだよ。」


「そう。春陽ちゃん、様子明らかにおかしかったし、何かあったんだろうね。」


心做しかあまり話したことない淳治と雪也も心配そうな表情を浮かべていた。


雪也は俺の誕生日パーティーも倉庫で待機だったし1回も会ったことないんじゃないか?


そんな疑問を抱いたが、そこまで気にすることも無く適当に時間を過ごした。



俺は春陽からの連絡を待ちつつ、たわいも無い話をしながら、いつの間にか眠りに落ちてしまった…。

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