月下の少女
少し悩んだような表情を浮かべてから表情を和らげて話始めた。
「そりゃ気にならないって言えば嘘になるけど、ただ事じゃない感じだったしね。でも、気軽に聞けるような話でもないだろうし、ハルちゃんが話したくなったら話してよ。俺はそれまで待つことにした。」
「ありがとうございます。いつか、話せるようになったら話、聞いてくれたら嬉しいです。」
「うん。俺でよければいつでも。」
こんなこと言ってくれる人ホントにいるんだな。
いつか、この人になら話せる気がした。
自分で話せるうちにしっかり話そう。そう決意して私はマスターに一礼して自分の部屋に帰った。
部屋に帰ってから身軽な服装に着替えて、赤くなってる部分を冷やした。
それから日記に向き合い、ペンを進める。
大丈夫。まだ書ける。
XPは紫外線に当たらなくても、神経症状とかも出てくる病気だ。
手に症状が出てきたら文字は書けなくなるし、自分でできないことも増えてくる。
だから毎日文字を書き、目が覚めたらまず手を動かして症状が出始めていないか確かめる。
紫外線に当たると直ぐに皮膚は火傷のようになって、シミになりやすい。
根本的な治療法はないから対症療法しかないのだ。
この病気自体症例数が少なく、大学病院は私を研究したがるし、他の病院では診れないって放り出される。
だから、私は病院に行くことも辞めた。
自殺行為だって思うかもしれないけど、それでもいいと思った。
どうせ一人だし医療費も馬鹿にならない。
治療法が見つかるかもなんてそんな期待は最初から抱いていない。
期待は苦しいだけだから。
だから、私は自分に使命を課してそれを全うしている。