月下の少女

瑞希さんから伸ばされた手に迷うことなく手を絡めた。


握手って何時ぶりだろう。


人の手ってこんなに暖かかったかな?


「この同盟は、大蛇との件が終わり次第完了ということでいいですよね?」


私も10代後半の歳だ。


XPという病気はその年代になってくると神経症状が出てくることが多い。


私の年齢でなにも症状がないというのは異例なくらいだ。


早くこの問題を片付けて、一人にならないとみんなに迷惑を掛けてしまう。


「そうだな。ひとまずそのつもりだ。」


瑞希さんも了承してくれたし、大丈夫であろう。


「このたまり場は春陽も好きに使ってくれて構わない。この幹部室への出入りも自由だ。メンバーには俺から伝えておく。」


「同盟は分かりましたが、具体的に何をやればいいんですか?」


「今まで通りの街の見回りだな。俺と一緒に。」


ん?それなら私だけでもいいのでは?


「プラスで関東連合に情報共有もしてもらいたい。春陽は俺らよりもあの辺のことに関しては詳しい。いつもと様子が違う部分があればそれも1つの情報だ。直ぐにその情報が得られるよう俺も同伴する。」


なるほどね。じゃあやること自体は変わらないってことか。


「同盟も結んだことだし、硬っ苦しいから敬語やめてくれ。俺も最初からタメだし。」


「いや、それは…「いいですね。そうしましょう。」


私の拒否をいち早く制したのは昂さん


やっぱりこの人なんか苦手だ。

多分ものすごく周りを見ていて、仲間になれば頼もしい。

絶対敵に回したくないタイプだ。

ハァ…また断れない雰囲気だし、もういいか…。
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