月下の少女
瑞希side
街を守るため、春陽を守るため、双方の意味で俺は春陽と動くことにした。
俺がそう提案した時、春陽は明らかに嫌そうな顔をしたが決定事項だ。
別に俺じゃなきゃいけない訳では無い。
ただ、俺が春陽を守りたいだけなのかもしれない。
それでも良かった。
組織のトップとして、その決め方はNGだったかもしれないが、最終的には幹部の仕事の振り分けは間違ってないはずだ。
春陽が溜まり場を去った後も、俺たちの話題は尽きない。
「春陽ちゃん、明るいところで見るとけっこう整った顔立ちしてるんだね。女なんて興味もない瑞希が夢中になるわけだ。」
「そうだな。色白だしモテそう。」
「瑞希もうかうかしてるとどこぞの男に持ってかれるぞー。」
昇、雪也、淳治の順で俺をからかい始めた。
さっきまでシビアな話をしていたのになんでこうも浮かれるんだ?
「うるせぇ。わかってるよ。」
春陽の容姿について言うまでもない。
誰が見ても整った顔立ちで、化粧っ気もないのにパーツがハッキリしている。
今のところ男の影は見えないが、彼氏がいても何ら不思議じゃない。
月下の少女、孤高の存在だが、俺からしたら1人の女の子だ。
必ず守ってやる。