月下の少女
変化と決意
春陽side
いつも通り昼過ぎに目を覚まし、ご飯を食べて日記を書いてボーッと過ごす。
その後、日焼け止めを塗りたくって黒い服装に身を包む。
日が沈むのをひたすら待って、私の時間が訪れる。
今日は8月23日
日の入り時間 18:21
翌日の日の出時間 5:07
店に続く階段を上ると、まだ店は開店前なのに話し声が聞こえた。
マスターと瑞希さんだ。
「瑞希さん、待たせてしまいましたね。すみません。」
「いや、公弥さんにも話があったから早めに来ただけだ。あと、慣れないと思うが敬語とれよ?」
「あ…。」
元々の言葉遣いを直すって案外難しいな。
「まぁ、いずれな。今日からよろしくな。月。」
「うん。よろしく。」
「ハルちゃん、あまり無理はしないこと。何かあれば直ぐに連絡すること。いいね?」
マスターが真剣な面持ちで私に詰め寄ってきた。
本当に、優しい人だな。
「大丈夫ですよ。瑞希さんもいますし。」
「これ、必ず持ち歩いてね。」
そう言って差し出されたのは片手サイズの箱
「なんですか?これ…。」
「開けてみて。」
公弥さんから何かを貰うことは初めてで、ゆっくりと箱を開けた。