月下の少女

画面に映ったのは、海辺の朝日の写真。


「これ…。」


「それ、俺が撮った写真。あの日、見れなかっただろ?俺が見た中で一番綺麗な朝日だったから春陽にも見せてやろうと思ってな。」


「綺麗…。ありがとう。」


これ、あの日の海辺の写真なんだ…。

見たかったなぁ…。

実際に見たらもっと綺麗なんだろうな…。


「じゃあ、そろそろ行くか。」


「うん。」


私は気持ちを切り替えて店を出る前にマスターに再度一礼し、フードを被り直してから外に出た。


いつもと変わらない巡回。


ただ、瑞希さんがいるからかみんないつもより大人しい。


存在感だけで街が平和になるなんてね。


ほんとにすごい人。


だが、大蛇という言葉も、メンバーらしい人も手がかりも掴めないまま日々が過ぎていった…


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