月下の少女
「あれから雪也も淳治も何も情報掴めてないらしい。」


「そっか。不気味なくらい動きもない。なんか嫌な感じだね。」

瑞希さんと巡回を初めてはや1週間。

今もその巡回中


今日は8月30日
日の入り時間 18:11
翌日の日の出時間 5:12


この1週間で瑞希さんとの距離もだいぶ縮まった。


最近では敬語が出ることも無くなり、完全にタメ口だ。


小さな争い事なら私が手を出す間もなく瑞希さんが鎮めてしまう。


私、この1週間何にもしてない気がするな。


ピコン


「ん?雪也からだ。」


私と瑞希さんのスマホが同時に音を立て、それぞれのスマホ画面に目を落とす。


個人宛ではなく、関東連合幹部と私のグループメッセージ宛に“溜まり集合”とメッセージが送られてきていた。


「溜まり場集合って…要件書けよな。あいつはそういうところ抜けてる。」


「そうなんだ。でも何か掴んだのかもしれないし、今日はこの辺にして戻ったら?」


私はもう少しこの辺りを回ったら帰ろう。


「何言ってるんだ。月も一緒に行くぞ。だいたいこのグループメッセージで連絡が来てるってことはお前も来いって事だ。」


あ、そうなのか。

私も行くのか。


集団行動なんてしたことないからそういうのはよく分からない。


「わかった。行く。」


溜まり場への道のりを瑞希さんと歩くのは2回目だ。


前は5歩くらい後ろを歩いたけど、今は3歩くらい。

少しは近くを歩けるようになった。


この1週間、色んなことを話したけど、関東連合のトップなのに気取ってなくて親しみやすい。


そんな彼に私も少しだけ歩み寄りたくなったのだ。
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