月下の少女

いつもより早足で倉庫までの道のりを歩くと、代わり映えのない倉庫に入り、奥の幹部室に迷いなく入った。


そこには昂さんも淳治さんも揃っていて前と同じ位置に座った。


「集まったね。今日はちょっと気になる情報を得たから共有したくてみんなを集めた。これ見て。」


雪也さんが私たちにパソコンの画面を向けた。


「“9月6日復讐の日”?」


物騒な文字だ。

復讐の日?なんの復讐?


「誰がこれを掲載したのかはまだ分からない。でも、大蛇関係だと思う。」


「なんでそう思う?」


「9月6日って、関東連合が仲辰夫を警察に引き渡した日でしょ?うちに大蛇が仕掛けてくるなら一番可能性のある日だからね。偶然にも程があるでしょ?」


「確かにこれは怪しいな。」


雪也さんと瑞希さんが淡々と会話をしている中で場の空気は最悪だ。

9月6日か。あと1週間。


「全面戦争の可能性は十分にある。まずは体制を整えるぞ。雪也は引き続き情報を集めてくれ。昂と淳治はメンバーへの情報周知と体制の強化。俺と春陽は街で情報を探る。」


「ちょっと待って。瑞希さんはここに残るべきだと思う。街での情報収集は私だけでいい。」


組織のトップは現場にいるべき。


今までも私ひとりでやってきた事だし、瑞希さんをわざわざ引き連れてやるべきじゃない。
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