月下の少女
厄災

春陽side


あの後、明日に備えると言って瑞希さんは倉庫に戻って行った。


マスターは瑞希さんと店を出て一緒に自宅に帰り、私も自分の部屋に帰った。


頭は冴えていたが、体は疲れていたようで寝る準備を済ませるとあっという間に眠りに落ちていた。


その日は目覚めても巡回を休み、私も明日に備えて心身の状態を整えることにした。


病気のことを話したり、病気自体に向き合うことは初めてで、精神面をだいぶ削って暴露した。


だから、その精神の乱れを抗争の場に持ち込まないよう、しっかり休息をとることにしたのだ。


思ったよりも休息はあっという間で、何もしない1日も残りわずか。


もう9月4日午後23:45だ。


あと15分で9月5日となる。


果たして何が起きるのか、私にも想像がつかない。


いつもは適当な晩御飯もしっかり食べて腹ごしらえをし、手足の動きを確かめつつ日焼け止めクリームを念入りに塗る。


左手足は相変わらずだが、右は今のところ大丈夫そう。


左足はまだそんなに症状はなくて、普段通り歩ける。


真っ黒の服装に身を包み、onyxへと続く階段を上がった。


カツカツカツ…ッと響く私の靴の音がいつもよりも大きく聞こえる。


気を張っているのかな?


周りの音に敏感になりすぎかもしれない。


1度深呼吸をしてからonyxに続く扉を開けた。

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