月下の少女

気がつけば午後の4時半。


まだ私が動き始めるには早すぎる。


でも妙に目が覚めてそのまま起きることにした。


スマホでメッセージを確認すると、1時間前に異常なしのメッセージが雪也くんから届いて以来何も届いてなかった。


まだ9月5日は7時間近くもある。


気は抜けない。


私は何時でも動き出せるように早めに準備を始め、いつもより念入りに日焼け止めクリームを塗った。


そのまま何をする訳でもなく部屋に篭っていたが、ソワソワして落ち着かない。


早く、日が沈めばいいのに…


今日の日の入りは18:03


まだ1時間半もある。


私は意味もなくスマホを開くと、トップニースに“繁華街で通り魔か?”という物騒な記事が目に付いた。


それも30分ほど前に投稿されたばかりの記事。


私はその記事を何気なく開き、思わず目を見開いた。


onyxのすぐ傍の表通りで一般人が刃物で襲われた?


他にも数名が鈍器で殴られたりと複数名での犯行。


まさか、これって大蛇の仕業…?


でも、なぜ突然一般人を?


私は直ぐにグループメッセージでみんなに連絡を取ろうとしたがひとつも既読がつかない。


何か起こってるってこと?


私はいてもたっても居られず、自分の部屋を飛び出し階段を駆け上がった。


店は窓がないから紫外線は入ってこない。


でも、扉から1歩でも出てしまえばおしまい。


そんなことは今はどうでもよかった。


私を救ってくれた人の街を放っておけない。

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