月下の少女
瑞希さん達も一通り敵を倒し終え、残るは関東連合の強さに戦意喪失した大蛇メンバーと、仲辰夫ただ1人…。
まだ立てる関東連合メンバーは瑞希さん達の指示で物陰に避難した。
拳銃を避けるなんてそんな漫画みたいなこと私にはできない。
せいぜい銃口の先を見て少し逃げるくらいが精一杯だ。
「あーあ、弾一発無駄になったじゃねぇか。どうせ死ぬんだから一発で死ねよな。」
幸い、仲辰夫は銃を一丁しか持ってない。
隙を作ってそこを狙うしかない。
「瑞希さん。頼んだよ…。」
私は瑞希さんに聞こえるかどうか分からないぐらいの声でそうつぶやき、思いを託した。
この頼みの中には1つの願いを込めた。
私がどうなっても街を守って
私は一瞬瑞希さんに視線を向けて今できる限りの笑顔を向けた。
あとは、頼むよ…。
私は一直線に仲辰夫めがけて走る。
仲辰夫、私を見ろ!
「春陽!!!!」
何本名で呼んでるの?
と心の中でツッコミを入れながら、瑞希さんが名前を呼んでくれるだけで少し心が暖かくなる。
「殺してやる!」
パンッ
この一髪は私の右足に直撃し、痛みが走る。
でも私は走り続けた。
痛い…でも負けられない。
パンッ
「ウッ…」
「春陽…ッ!」
もう一発はお腹に掠った。
あとちょっと…。