少女と過保護ーズ!![完]
何故に八雲さんも竜希さんもあたしを抱っこしたがるのか。


小さいけどね!!


幼児体型だけどね!!


いや、抱っこ自体は好きなんたけど……


でももう子供じゃないし……。



うーん……。



「痛!!イタっ!!地味にローキックしてくるんじゃねぇよ、八雲!!」


「フン」



竜希さんと八雲さんが小さな闘いをしてる中、麻也が田村さんの前に立った。


同じく今回、田村さんにモデルに選ばれた蓮くんがその麻也の隣に立つ。



「これが最後だ。モデルには絶対にならない。諦めてくれ」


「……」


「俺も。なんで俺が選ばれたのかさっぱりわからんが、モデルにはなれねぇ。悪いな」




二人が揃って、田村さんへと頭を下げた。


頭を下げるなんて、格好悪いなんて思う人も多いだろう。



でもこれは二人の、田村さんへの誠意。



あたしには惚れ惚れするほど格好良く見える。




「……わかった」



ポツリと呟かれた言葉。


声も元気がなく、表情も暗い田村さん。


でも



「謝るのはこちらの方だ。迷惑をかけて、本当に申し訳ありませんでした」



今度は田村さんが深く頭を下げた。



やっと麻也の気持ちが通じた瞬間だった。
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