少女と過保護ーズ!![完]
「モデルの件は諦める。その代わり……ではないんだが……またここに来ても……良いだろうか?」



最後の方は、やっと聞き取れるかというほどの声の小ささ。



“ここの人達の会話はとても楽しそうで、仕草とか行動とかも参考にしたい……”


と。


会話が楽しそう……か。


ただアホみたいな会話しかしてない気がするけど…



それくらいならって、あたしは思った。



でも



「「「「「ダメだ」」」」」



あたし以外の全員が拒絶した。



え!?

なんでだ!?



「朝は、朝のこの時間は大切な“家族”の時間だ。邪魔されたくねぇ」



と言ったのは八雲さん。



“家族”の時間。


あたしが密かに思っていたこと。


あたしにとってもとてもとても大切な時間。


田村さんには申し訳ないけれど、みんながそう思っていてくれたことが嬉しい。



「でも、昼に来る分にはなんの問題もない」


「なにしろここは喫茶店だしな」


「人間観察にはもってこいの場所だろ」



竜希さんと桂、蓮くんが言う。



断られて泣きそうだった田村さんが、顔を上げて麻也を見る。


まだ何も言ってないのは麻也だけ。



「……良いんじゃね」



表情は硬い……けれど許してくれた麻也に、田村さんはパッと顔を輝かせた。
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